十三式大回転

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<<   作成日時 : 2006/03/16 23:59   >>

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「電車ね」
「電車だわ」
「電車ですね」
アルトと白騎士と志貴は、目の前にある電車に目を向けた。
真昼間なのに、人がいない。そして電車の中にも人がいない。
「こりゃあ、多分運転手もいないわね」
白騎士が忌々しげに言った。電車を止めたら金がかかるのは常識だ。それをやったという事は白翼公か、あるいは姿を見せないヴァンのどちらかが、手を回しているのだろう。
金持ちは嫌いだ。

たった、二両編成の列車。手紙の指示は細かく。また大胆だった。
夜、帰ってきた志貴と、部屋から出て来たアルトとで手紙の内容について話し合ったが。
「正面から行きましょう」
と、アルトが言い。
「下手を打っても困るだけだし」
と志貴が言い。
「アタシは罠を食い破る方が好みなのよ」
と白騎士が言い。
会議は物の五分で終わった。

「罠かもねえ」
嬉しそうに、白騎士が言う。
「行きましょう」
アルトとプライミッツが電車に乗り込む。
白騎士も軽く肩を竦めて、乗り込んだ。
志貴も後に続く。

電車の中に居たのは一人の吸血鬼。
「ようこそ」
微笑んだ、リタ・ロズィーアンは一礼をする。
「ここで、やるって訳?」
「ええ、私はその心算です」
たった、一人。スミレも白翼公も居ずに本当に一人だ。
「本気なの?」
アルトがリタを睨みつける。
「ええ、流石に貴方達三人と戦う実力は私にはありません。私はただ一人に決闘を申し込みたいだけです」
ドアが閉まる。
電車が走り出した。
「さあ、時間は短い。私の申し出を受けてくれますか?」
そしてリタは手を伸ばした。
遠野志貴に向って。
志貴が困惑して眉を寄せた。
「何で、俺なんだ」
白騎士はその声のトーンの低さに驚いた。
遠野志貴は気性穏やか青年だ。彼がこんな声を出すという事は相当にイラついているのだろう。
そっと、横目でアルトを見る。彼女も何処か殺気だっているようだ。
自分も正直、落ち着いてはいない。ヤル気満々だ。
「貴方の戦闘技術。私の見たことの無いものでした。それにあの太刀筋。私はアレを物にしたい」
言って、リタは拳銃を抜いた。
「白騎士、その主をつれて前の車両に移りなさい。敵が一人減るのです。考えようによっては良いでしょう?」
「味方も一人減るのだけど」
足元に発砲した。
「決闘は一対一で、そして申し込まれたら、申し込んだら断らぬのが紳士、淑女というもの」
今度は外さぬ、とリタは拳銃を構えた。
「観客はいりません。どうぞ前の車両へ」
白騎士は大袈裟に溜息をついた。
「いきましょう、アルト。ごちゃごちゃやってても仕方が無いわ。こんな所で怪我をしたくもないし」
少し迷うように、頭を振るがアルトは頷いた。
「月並みだけど、頑張ってね」
白騎士がすたすたと歩いていく。
「後で、追いついて来て」
アルトがプライミッツを連れて前の車両に移った。

残ったのは、志貴とリタだけ。
前の車両が自然に切り離されて、この車両を置いて行く。
「ご安心を、この電車には『絶対に到着する』という魔術が掛かっておりまして。まあ、障害の無い一本道です。電車は、無事に到着するでしょう」
拳銃を志貴に向けた。
「私は特殊な能力を持っていません。普通の吸血鬼………まあ、その言い方も変ですが。ええ、特殊な能力はありません」
とん、とん、とリタの体が小刻みに跳ね始める。
「私は変わりにありとあらゆる、武道や戦闘技術を自分の物にしています。吸血鬼の肉体があれば男女差どころか、人間的に不可能なそれすらも超えられる」
志貴の眼は拳銃に向いている。流石に飛んでくる銃弾は避けられない。死を知覚できたとしても体が付いていかない。
「銃がお嫌いですか」
ぽい、と両手に持っていた拳銃を地面に投げ捨てた。
志貴の眼がそれを追う。
「未だ、真剣ではないようですね」
それと入れ替わるように、リタの足が跳ね上がり、志貴の鳩尾に蹴りを入れていた。
「がっ……!?」
「まずは、格闘術」
たん、たん、とステップを踏む。
「時間はそれなりにあります」
リタは笑った。
「楽しみましょう」



攻撃が当たらない。
身体能力の差は歴然だ。
当たるわけがない。
「貴方の体術は正面きって戦う為のものではありません」
右の回し蹴り。
受けるか? 否。受けたら腕が壊れる。
後に―――――。
「それは一撃で相手の喉笛を切り裂き、すぐさま離脱するもの。直線的でない動きや奇抜な動きは正に暗殺者の好むものです」
ぶおん、と眼の前を足が通り抜けていく。
「正面から立ち会った際、それは本当の威力を発揮しません」
攻撃が止まる。
「しかし、貴方にはその眼がある。その体術とその眼があれば殆どの敵は貴方には勝てない」
志貴は眼鏡に手をやった。
外せ、ということか。
リタはその仕草を見て、微笑む。
「刃を取り、魔眼を使いなさい。でないと、貴方は真祖を助けに行くどころか」

ここで、死ぬことになる、と。

吸血鬼は笑った。
赤い眼が細まる。
「行きますよ」
眼鏡が何かに跳ね飛ばされた。
「―――――っ!?」
違う、手だ。高速で繰り出された拳打が、跳ね飛ばした。
僅かに逸れた視界を元に戻すがそこに彼女はいない。
死があたりを侵食する。猛烈な頭痛。足場すら定かでは無い電車の中では立っていることすら困難になってくる。
がくん、と体が倒された。
足払い。
「このまま、地獄行きですか」
「冗談、俺も黙ってやられる程人間できてないっ!!」
崩れた体勢から踵落とし。
「甘い―――――っ」
そのまま、足を掴んで一本背負いの要領でブン投げられた。
両腕を前に出す事で、激突を防ぐ。そのまま立ち上がり様に後足で相手がいるであろう場所を蹴り飛ばす。
「はっ! カンガルーキックですかっ!」
当たらない。反応速度が段違いだ。
だったら、奇襲だ。正面から戦う羽目になった暗殺体術でもやれる戦術。
幸い、ここは上下左右『足場』に困る事は無い!
そのまま、壁に飛んだ。
揺れる電車の中は不安定だ。不確実だ。
だが、七夜の体術は不確実を好み、不確定に強い。
きゅ、と窓を踏みしめる。体重はかけない。自分の移動速度と体重を考えれば窓が破れる。
「壁走りとは、面白い!」
リタは興奮したように叫ぶ。
眼が爛々と輝き、頬が紅潮している。
リタも壁に飛んだ。
体重をかけられた窓が割れ、リタの進む進路に従って鉄板の箱が陥没していく。
「力加減は滅茶苦茶ですが、ご賞味ください!」
互いに左右に別れ、車両の壁を走り抜ける。
「あんたの技は荒すぎる!」
互いに交差した。
志貴は短刀を何時の間にか手に持っている。
リタの髪が千切れ飛び、車内を汚した。
腰辺りまであった豊かな髪が肩口で綺麗に切り揃えられている。
首筋にかすかな傷痕があった。
「女の命を斬るとは、酷い殿方ですね」
たん、とリタが床に着地した。
志貴も、既に着地している。
「あと少しでした」
楽しそうに笑う。
「取ったと思ったんだけどな」
志貴に攻撃は当たっていない。空中で避けられた。
「良い体術です。ですが貴方もあまり熟練していないようですね」
技が達人の域に入っていたなら、リタの首が飛んでいた。
僅かにリタも空中で体をそらしたが、避けることはできなかった。
「この髪は生えてくるのでしょうね」
「なぞってはいないよ。あんたは死に難い」
「それはどうも」
スカートをたくし上げて、ホルダーに取り付けてあったナイフを引き抜いた。
「素手では危ないようなので、これで相手をさせてもらいます」
「どうぞ」
ぱちん、とリタがホルダーを足から外す。
それが床に落ちると同時に、二人は駆け出した。
リタは壁を走らない。トリッキーさでは勝てぬと踏んだからだ。
志貴の身体能力には恐れ入る。
人間の域は飛び出ているだろう。退魔の血という奴か。
(ですが、勝つのは私です)
近、中、遠、戦闘において、普通に戦ったらリタは最強の部類に入る。
蓄積された技術は彼女自身をさらに強くする。
自信がある。折れぬ自信が。挫けぬ自信が。
結果、行動に躊躇いはなく。結果、彼女の前に立った敵は皆地面に伏せる。

リタの唇が自然と釣りあがった。
多分、自分と白騎士は似ているのだろう。
互いに馬鹿にされては黙っていられない。
若いと言えばそれまでだ。単純馬鹿と言われればその通り。
だが、虚仮にされて黙っていられる程人が良くないし。技術に感動すれば、それを自分のものにしたくなってしまう。
あの時、マンションから逃げ出した時の彼の動きは素晴らしかった。
スピードなら自分の方が当然上だ。だが、あの流れるような動作。
あれに、見惚れた。
自分もあのように動けたら、そう思ってしまった。

志貴は前後左右に加えて上からも攻撃を仕掛けてくる。
血が滾る。楽しい。楽しい!

行動を先読みして、ナイフを投げた。
それは壁に突き刺さり、志貴の進路を妨害する。
「常に迎えるべき結果は勝利! 常に唾棄すべき結果は敗北! 私は負けない!」
「道を、開けろ!」
真祖への道を? 馬鹿な、それでは私が負けてしまう。
道を閉ざすことが勝利ならば、無慈悲に殺そう。無慈悲に倒そう。
無慈悲に閉ざそう。
悪党、大いに結構。
言葉も、並べ立てるお題目も、この戦いの興奮に比べたら小さきものだ。
そして、その余韻を味わうには勝利しかない。
称えるべき勝利を―――――この手に。

繰り出された手は三手。
内、二手がフェイントで。
一手だけが本気で殺しにきている。
蹴。
拳で撃墜。
体を空中で捻り踵。
受けられない、肩に喰らう。
持っていたナイフが衝撃で落ちた。これで無手。
狙ってきている。短刀の一撃。
どこでも当たれば致命傷だというのが反則だ。
どこでも当たれば致命傷だというのが素晴らしい。

振り下ろされる短刀の一撃。
狙らわれた所に喰らったら、アウト。
先程から、笑みが崩れない。
ここまでの緊張感。一撃で死ぬというのが良い。

「あは――――――――――」

享楽、快楽、痛覚麻痺。
頭の中が滅茶苦茶だ。景色すら停止している。

拳打を短刀にぶち当てた。

振り下ろされた勢いと、振り上げた勢いで腕が裂ける。
痛い、痛い、痛くない、痛くない。
楽しくて、痛みなんて感じてられない。

最高だ。

みちり、と音がして短刀が止まった。
勝利ではない。だが、相手の手は防ぎきった。
これで、詰みだ。

志貴と眼が合った。驚愕もなく、焦りもなく、静かな目。
そう、死神の目だ。

笑みが消えた。

読み違えた。
相手が仕掛けてきた、攻撃総てフェイク。
直死の魔眼という特異能力に気を取られすぎていた。
何も、相手は自分を殺す必要はない。

そう、様は。この電車から自分を叩き落せば良い訳で。

視点が違った。
相手は勝利を目指している訳ではない。
そう、道を開けろと言った。
閉ざされた道を、こじ開けに来た。

志貴が短刀に体重をかけ、倒立のような形になる。
そして、それが折れ曲がり。
両足でリタを蹴り飛ばした。
構えていなかった。予想外の攻撃。成人男性の志貴と、比較的小柄なリタでは単純な体重が違う。
それだけで、吹き飛ばされた。
短刀が腕を更に引き裂いて抜け落ちる。
壁があればよかった。
だが、計算されていたのだろうか。
後には、生憎と自分が突き破った窓しかない。

結果、リタは高速で動く電車の外に転がり落ちた。



「ふう」
志貴は浮かんだ汗を拭った。
やばかった。
単純な戦闘能力では勝てっこなかった。
故に力を発揮させずに勝った。
仮にも吸血鬼だ、電車から蹴り落とされたとはいえ死ぬことは無いだろう。
「よし」
幸い、体の何処にも欠損は無い。
ぶつかりあった手がまだ痺れているが、目的地に着くまでには治っているだろう。

きききききき―――――。

音が聞こえる。
「ん?」
何かが擦れているような音だ。
それが何なのか、考える暇もなく。
天井からどん、という大きな音がした。
「―――――は」
それが何なのか、考える必要はない。
どうやって、戻ってきたのか。何故に天井なのか。
思考の暇は与えられない。

だって、音が止んでいる。

怖気を感じ、飛びのいた。
天井が落ちてくる。

「やってくれましたね」

顔の肉が半分以上、削れている。
だが、それも一瞬で治った。

元通りになった綺麗な顔で笑う。

手には細い糸が絡まっている。

「鋼糸。持ち運びにも便利で使いやすい品です」
ちらり、と『切り取られた』鉄板を見る。
断面は恐ろしい程、綺麗だ。
「当然、唯の鋼の糸ではありません。それなりの概念武装であり、そして何より私が使っています」
指を軽く動かしている。
きらきら、と鋼糸が輝く。
「見事でしたが、詰めが甘かった。私の両腕を切り飛ばした後だったら私は追いつけませんでしたが」
ひうん、と音が鳴った。
志貴の横を風が通り抜ける。
「―――――甘く見ましたね」
短刀を握りなおす。相手はもう笑みを浮かべていない。
戦いを楽しむ気がない。
自分の体術を盗む気もない。
ただ、殺す気だ。
「冷静に冷徹に怜悧に、勝利までの総ての手管を考えて」
ききききき、と糸が張られる。
「殺します」

線の死が走る――――――――――。



「真祖というのは唯一であるべきだ。真なる祖なのだから当然だろう」
白翼公は、にこりと笑みを浮かべて鎖に縛られたアルクェイドをに話しかける。
アルクェイドは何の反応も示さない。
「だが、過去には大量の真祖が存在した。これは何と定義すべきなのだろうか。精霊? 妖精か? 興味が無かった事なので詳しくはわからんがね。だが、私はそれをオカルトというかそんな括りに当てはめたくない」
スミレはぼんやりとした目で二人を見つめている。トラさんもああいうのが好きだなあ。
「真祖というのは、単に人間と違う進化の方向性を辿った一生物に過ぎないと私は確信している。何故なら真祖は、人間の形をとっているからだ。ヒトガタというのは戦いには向かない。純然たる人間であれば野犬に殺されることだってあるのだ。何故、真祖がそんな不便なヒトガタを模すのだ。否、理由など考えるまでも無い。真祖は人間の体系を組む一生物だからだ」
鎖が軋む。アルクェイドの力に依存して出来ている鎖は確実に彼女を衰弱させていた。
「吸血鬼は真祖が生み出したもの。これは疑いようの無い事実だ。種の強靭さと生殖能力は反比例するが、遇に生まれた弱い吸血鬼は莫大な繁殖能力を持っていた。そこから多くの存在と伝承が生まれた。ナイトウォーカー。ヴァンパイア。何でも良い。呼び方など大して重要ではない。私達は人間から変質してしまった生き物だ。私は当然、それに誇りを抱いている。マイノリティは何時でも迫害されるか、敬われるかのどちらかだ。私は自身が素晴らしい生き物になったと確信した」
そこで、初めてアルクェイドが反応した。
「弱くなっただけじゃない。吸血鬼なんて力が強いだけの化物よ。流水の上は渡れない、十字架の前では震えるしかない、日光の前では灰になり、ニンニクを突きつけられれば鼻が曲がる」
「だが、我々は誰かに依存しなければ生きていけなくなった」
ふん、と鼻を鳴らす。そんな仕草すら弱々しい。
「それの何処か優れているっていうの」
「――――――――――孤独ではいられなくなった。吸血鬼は人間と間接的にでも良い。絶対に関わらなければならなくなった。血を略奪するにしても、血を与えられるにしても。私達はこの地上で一番孤独とは縁遠い生き物になった」
誰かと関わらなければ生きていけなくなった。
それは、何て素晴らしいことなのかと。
白翼公は笑った。
「そこから繋がりが生まれた。人と吸血鬼。吸血鬼と人。吸血鬼と吸血鬼。誰かと一緒にいられる事の素晴らしさは知っている筈だ。真祖の姫君」
「貴方達は私の“それ”を奪った」
「恨みたまえよ。君が死んだ後なら呪い殺してくれても構わんぞ」
「―――――ふざけないで」
白翼公は軽く肩を竦める。
「私が赦せないのは。君を殺そうと思うのは」
スミレが僅かに目を細める。
白翼公は重々しく、まるで神託を下すかのように言った。

「―――――君が人の血を吸わないからだ」



ききききききき――――――――――。

元々、遠野志貴には七夜志貴が使うような立体的歩方は得意ではない。
先程までのはトレースしただけだ。
あの夏の夜の夢。
あの時の殺人鬼を真似ただけ。
模された体が同じなら、なぞる程度は出来る筈だった。
そして、出来た。だが、詰めた盤は見事に引っ繰り返され今正に、どんでん返しが始まろうとしている。
「―――――は」
アドバンテージ。直死の魔眼。それだけ。
オーケー覚悟は出来た。
目の前にいるトンデモ女に、勝てる確率はそれこそ三割行けば良い所。
自分は凡人だ。自覚している。この眼の才能だけが突出しているがそれ以外は凡人。
体なんて直に貧血を起こして倒れるし、頭だって然程良くない。
本当はどこも虫食いだらけで、歩く度に色々な所がコワレテイク―――――。
足先から崩壊していく感覚。ふっと自分を見れば己の死に安さに眩暈がする。
無理だ。と頭の冷静な部分が叫ぶ。先程の戦いで仕留められなければもう駄目だ。
「黙れよ」
乱暴な言葉を吐く。
だが、弱音に耳を貸している暇はない。強気に心を傾かせて死ぬ気もない。
進まないと。こじ開けないと。
だって、待ってる。
きっと、待っている。
あの馬鹿女は、きっと。俺が死んでしまったり、諦めてしまう事を考えずに待ってる。

―――――だったら行かないと。

覚悟は出来たし、刃は取った。
吼える準備は出来たし、敵だっている。
戦場は此処にあり、逃げ場は何処にもない。
糸の結界の中を歩く、風切り音がして頬が切れる。
流れる血の熱さが、俺を前に進ませる。
伸ばした手が届かなかった事を憶えている。
ふざけるな、と叫んだ事を憶えている。

「命知らずの無謀者。もう、退場なさい」

先程から女が何か言っている。そういえばコイツの名前は何だっただろうか。憶えていない。憶えているのは、アルクェイドが攫われた時のコイツの冷たい眼だけだ。

ひうん、と音がする。腕の皮が綺麗にむけた。
血が噴出す。てらてらとした赤い肉がむき出しになる。
嬲る気だろうか。関係ない。
この糸が邪魔だ。

これじゃあ、女を殺しに行けない。
これじゃあ、アルクェイドを助けに行けない。
いかないと。いかないと。速くいかないと。
もう手を伸ばさない。

この手で抱き寄せるから。

「だから――――――――――」
世界中が死で満ちる。
そう、誰もが見てないだけで世界はこんなに死に易い。
「――――――――――失せろ吸血鬼」
暴れまわる糸のの死をなぞった。
ほんの少し、小さな死をなぞる。
それだけで、縦横無尽に走る線の死は、殺された。
「何、で――――――――――」
女が呆然と呟く。手に絡まっていた糸は光沢をなくして、彼女の周りに散らばっていた。
「そんな、殺すということは」
「そう、これが殺すっていうことだ」
だが、女の驚愕は秒の単位だ。
表情は静に戻り、こちらに向って走り出した。
そう、戦う者にとって生き残る道は前にしかない。
幾つかの武器をまだ隠し持っているだろう。だが、取り出さない。
それはそんな悠長な事を赦す場面ではないということを理解しているから。
走る電車。不確定な世界。揺れる視界。赤い眼の女。短い髪の女。
短刀の重みが心地よい。女の体に死が増えていく。
ああ、そうか。肉体強度なんて関係ない。
状況、場合によって死に安さは変わってくる。
そう、そしてこれが彼女が一番死に安い瞬間だ。

振り下ろす刃に躊躇いがなかったといったら嘘になる。

女が駆けて来る。狙いは自分の後ろに転がっている拳銃だろうか。
女の瞳は冷たい。殺すとは良く言ったもの。
まさに、その眼は殺人者の目だ。
汚い泥をすすり、大罪を犯していても気にしない殺人者の目。
躊躇いもせず誰かを殺せるこいつは、きっと躊躇いもせず誰かを殺してきたのだろう。

だけど、俺は誰も殺せない。
フィナのように、牙をむき出しに出来ない。
アルトルージュのように、巧く立ち回ることなんて出来ない。
遠野志貴にできることは唯、一つ。

志貴はリタではなく、床を見る。
そこにも無数に走る線が見えた。

そう、躊躇いが無いといったら嘘だ。
だって、止まってしまったら元も子も無い。

リタは走ってくる。勢いは途轍もなく単純な突進でも遠野志貴を吹き飛ばすだろう。
ぎちり、と頭が痛む。
短刀を床に走らせた。

驚愕の声は無い。
真っ二つに分かれた電車。
だが走り続ける呪いの鉄箱。
「はは―――――」
リタは笑った。毒気が抜かれてしまった。殺す殺すと言っていた自分が馬鹿のようだ。
相手は自分を殺せた、だが殺さなかった。この時点で勝負はついている。
離れていく、電車の半分。そこにリタはいる。
「二番煎じですよ、それは」
殺さないで突き放すだけ。その甘さを笑われる。
別にこちらに飛んでくる訳も無く、リタと志貴はニメートル程の間を取って向い会っていた。
「殺せるのに、殺さないんですね」
「あんたが最初拳銃の引き金を引いていたら、俺はそれで死んでた」
二人の間で、線路が流れる。
奇妙な雰囲気。
リタは軽く肩を竦めた。
「舞台が滅茶苦茶なので、私はやる気が失せました」
まるで、棒読みで言う。
「それは、助かった」
正直、さっきから皮がめくれた手が痛すぎる。
本当に胸を撫で下ろすように言うと、リタは純粋な微笑みを向けた。
「変な人。―――――どうです、この問題は置いておいて私と一緒に来る気はありませんか。私達はきっと良いパートナーになれます」
それは、きっとこの吸血鬼の最大の賛美なのだろう。
だけど、俺の隣にはもう違う人が座っていたから。
「遠慮するよ、残念だけど」
リタはその返事を予想していたように、『そうですか』と呟いた。

真っ二つに割れた電車が、吸血鬼と人間を運んでいく。



「トラさん、語ってる所悪いんだけど」
「なにかね」
「来たよ」
その言葉を聞き、白翼公はスミレが見ている窓に眼を向けた。
中指を立てているフィナと、冷たい視線をしたアルトルージュがこちらを睨んでいる。
「リタは彼と戦っているようだね。まあ、殺すことはないだろうからそこの所は安心だがね」
白翼公は、さてと呟いた。
「決着を、決着を示しに行こうかスミレ。暴力による決着をね」
「嫌だなあ」
ぼやくが、スミレはその長身を立ち上がらせた。
白翼公が笑い、階下に行こうと歩き出す。
スミレもそれに続いた。
「志貴、は」
アルクェイドが声を振り絞った。最強の真祖がこの様か。
白翼公は胸に沸き起こる衝動を押さえ込みながら微笑んだ。
「来るだろう。君を助ける為に。君の為に死ぬ為に。そして」
私に体よく利用される為に。

悪党なら悪党らしくするべきなのだ。
役割は決まっている。一番、俗物なのは私だ。

「まあ、まだ来ていないのだから。気にする必要もないさ」
白翼公はその言葉を残して消える。
スミレが眉を寄せてアルクェイドに警告した。
「これ以上暴れない方がいーですよ。その鎖は貴方には千切れないという空想を具現化したから。その気になったら人間にだって切れてしまう程脆い鎖ですけど」
アルクェイドは答えない。
スミレは頭を掻いた。
真祖が本気になれば、簡単に鎖は千切れるだろう。
それをしないのは助けが来ると信じていて。
これから先も生きたいから、か。
悪党、悪役、報われない。
この辺りでぐへへへとでも笑っておけば良いのか。
「ぐへへへへ」
言ってみたが、彼女は反応しなかった。
スミレは溜息をついて、白翼公の後を追った。

きしり、と鎖が鳴った。



「重いわねコレ」
白騎士はぶんぶんとニアダークを振る。
「振れるだけで、大した者よ」
アルトは、腕を組み目の前の階段を睨みつけている。
プライミッツは外だ。仕えない手札を伏せておく意味はもう無い。
「昇らないの?」
肩を竦めて、白騎士に眼を向けた。
「ここが決闘場でしょ」
壁も、物も総て取り払われた空間。
四角に区切られたそこは正に、決闘場と呼ぶに相応しい。
「ここまで、相手のシナリオに沿ってきたのよ。最期まで従ってやるのは当然だわ」
「でも、エンディングは“そうはいかない”でしょ」
「ええ、そうね」
白翼公が姿を現す。
後からスミレも顔を出し、アルト達の前に立った。

アルトと白翼公は同時に唇を吊り上げた。

「何を、考えているかは知らないけど」
「何か、考えているようだが」

白翼公の腕から白炎が噴出す。
白騎士がサーベルとニアダークを両手に持ち、構える。
スミレの眼が金色に輝く。
アルトの周囲に赤い魔力の旋風が起き、爪が鈍い音を立てて変質する。

白き翼の公と、黒き姫は同時に言った。

「「――――――――――そうはいかない」」

その言葉と同時に、戦いは始まった。



駅に人気は無く、唯一台のオープンカーは止まっている。
「まったく、君達は電車を止めるとどれ程金がかかるか知っているかい。知らないだろう。別に知らなくてもいいけどね。僕としては、何で君達が公園で暴れたりマンションを壊したり電車を私用で使ったりできたのか疑問に思って欲しいところだよ」
「ヴァン、様」
リタが呆然と呟く。
髪を後に撫で付けてオールバックにした男は鷹揚に頷いた。
「本体で登場さ。フィナーレにまで人形を使う趣味は無い。安全策としては良いかも知れないがね。ああ、ちなみに何時日本へ来たかなんて聞かないでくれ。僕は初めから此処に遊びに来ていたのだからね。僕が自分の領地にいるなんて一言も言ってない。―――――話を戻そうか。そう、君達の大暴れの後始末。アレは僕がつけていたのさ。金がかかったよ。後でトラフィムに請求する心算だがね」
喋り続けるヴァンを、志貴はちらりと見て歩き出した。
「おいおい、何で僕が車を運転してきたのか分かるかい。ああ、それとも皆まで言わなければならないのかな。―――――乗りたまえよ。二人とも」
エンジンは既にかかっている。日光に反射して赤い車体が煌いた。
「吸血鬼がオープンカー。皮肉でも何でもない。唯の遊び心さ。冗談を理解できなくなった時人間は終わりだね」
言いながら、ドアを開ける。
「ああ、二人乗りなのだが」
「私は車体に乗らせてもらえば充分です」
人間ではそうはいかないだろう。
「何なら僕の膝の上という選択肢も“あり”だよリタ。何故、そんな怖い眼でこちらを睨むのかな。ああ、髪を切ったのだね。中々良く似合っているよ」
志貴は戸惑うように、言った。
「あんたは、味方なのか」
ヴァンは運転席に乗り込み、にやりと笑った。
「こんな、そう。こんな、フィナーレまで中立を気取っている奴ほど、僕は愚かでは無い気なのだよ。ああ、自分を賢いと思っている奴程愛しい」
志貴は首を傾げていたが、歩きより車の方が早いだろうと思い乗り込んだ。
リタは後のトランクを開け、自分用の簡易スペースを造った。
本当は無茶すれば三人乗れない事はないのだが、車が二人乗りという事はそういうことだ。
察して行動するのが、良い女の条件である。
「リタ、そこにある鞄は放り出さないでくれよ」
「わかっています」
溜息交じりに言う。ヴァン・フェムが何を考えているかは分からないが。
いざとなったら、後から撃たなければならないだろう。好意も敬意も捻じ伏せて。
今、私は白翼公の同胞なのだから。

車が走り出す。
リタは、聞こえてきそうな二人の会話を聞かぬ為に耳を手で閉じた。



「自己紹介が遅れたね、僕はヴァン・フェム。まあ、しがない吸血鬼さ。といっても僕の年収を聞いたら君は殺意を憶える事は想像に難くない話だがね」
愉快そうに笑うと、ヴァンは志貴をちらりと見た。
「遠野志貴君。ああ、自己紹介はいらない。何故、僕が日本にいたのか、それは当然君達が気になっていたからさ。真祖と人間のカップルなんて珍しいを軽く飛び越して、また戻ってくる。まあ、ようするに珍しいという事なのだが。そう僕は君を知っている。君の家族と恋人を除いて僕はこの世界で一番、遠野志貴を知っている人物かもしれない」
後のトランクががんがんと車体に当たり、トランクが全開に近く空いている事を示している。
「ああ、後は気にしないで良い。愛車が凹んで行く音を聞くと今にも涙が出そうだが、ここは耐えるべきシーンだろうね。ああ、辛い」
リタが耳を塞いでいるという事は確信している。彼女はそういう性格なのだ。
「ああ、遠野志貴君。君はさっき問うたね。味方か―――――と」
景色が後に流れていく。
「その答えの前に問おうか。問いに問い返そう。ここは試験会場でも、これはテストでも無いのだから問いを問いで返すのは許される行為だと僕は確信しているよ」
そこで、言葉を切りヴァンは言った。
「彼女の寿命は永遠だ。誇張無くね。君は途中で死ぬ、永遠の愛を誓い合った二人はそれ
でどうなる。諦めるのか、それとも―――――」

―――――縋りつくのか。

「僕はそれが知りたい。答え知っている筈だった者は総てを忘れてしまった。後悔しているかどうかさえも聞けない」
ヴァンの顔から表情が抜け落ちている。一言、深く沈みこんだ声で言った。
「僕はそれが知りたい」



永遠に意味は無い。それを知ったのは永遠を得てから数百年後の話だった。
私は、苦しんだ。魔術の才能は無かった。そう、少なくとも私が望むような魔術の才能は。
そして、人間を殺すことも。恐れられることにも嫌気がさしていた。
その事をスタンローブに打ち明けると彼は下品な笑い声を上げた。
「ぎゃははははは! 糞みてえだな! ええ? トラフィムよォ! “俺達”はいったい何人の人間を殺してきた、血を啜ってきた? 思い出せねぇだろ、思い出せませんー」
誰よりも残忍で酷薄で、この世界に絶望している男は叫ぶ。
「俺達が生まれた所は肥溜めだ、糞の溜まり場だ! 何処を見ても糞だらけ、正義や愛なんて俺の尻から出てくるのにそっくりだ! 吸血鬼になって永遠を手に入れてもそれはまったく変わらねぇ! それ所か、余計にこの世が糞じみてきやがった。このテーブルも! あの壁も! 酒場の可愛いお嬢ちゃんも、死んだ俺の爺さまも全部糞に思えてきやがる!」
お前は、罪を感じないのか。
「ああん?」
私達は人間を殺しているのだぞ。
「あー、あー。トラフィムよォ、俺達の中で一番虐殺向きな能力を持ってる魔術師トラフィムさんよォ。アンタは何が言いてェんだ? まさか、吸血鬼とかいう笑える化物になった俺達に世界を守れとか、慈善事業でもやれって言うのかよ? はっ! それこそお笑い種だぜ、いいか、トラフィムよお、俺は糞に塗れているが俺自身が糞じゃねえ事だけは誇りに思ってるんだよ。世界中の全部が糞の臭いをさせていても、俺だけは悪臭を放たねぇ。俺にとって、人間なんていうのは餌だ。それ以外には何でもねェ」
永遠に人を殺し続けるのか。
「ああ、そうよ。殺し続けるね俺は。コーバックみたいに何かに没頭することもねえし、ヴァンみたいに人間に溶け込もうとも思わねぇ、ましてや宝石の爺のように世界中、そう正に『世界』中飛び回りたくもねえ。ねえ、ねえ、ねえ。なにもねえ。俺は自分しか持ってねェ。だから、俺は自分の感性と感覚と欲望に従い、人間を殺し続ける。泣き叫ぶ子供を、命乞いする女を、挑んでくる男を、容赦なく徹底的に殺し続ける。世界から人間が消えて糞の臭いが消えたその時こそ俺はこの世界を憎むのをやめてやるのさ」

結果、彼は意思を持たぬ唯の殺戮そのものに成り果てた。より多くの人間を殺すために。

コーバックは笑う。
「人を殺したくない? だったら殺さなければいいじゃないか。馬鹿だなあ」
血は貰うだけで済むかもしれない。だが、挑んでくる相手はどうする。
「殺されてやればいい。あんまり人を巻き込むなよトラフィム。私は研究に没頭したいだけなのさ。お前の悩み事を聞いている暇はないね」
研究は完成したのか?
「あと少しさ。ああでも奪おうとか考えるなよ。いや、考えただろ、考えたよな。なんてこった、トラフィム。一転突出型の天才トラフィム・オーテンロッゼ。馬鹿な事で悩む、魔術師。お前は私の知識を奪おうと思ったのか」
思わない。
「―――――本当だな。信じたからな。で、ああ。お前の悩み事の話だったっけ。一言で言うと知ったことじゃないね。……おいおい、睨むなよ。私はさあ、自分にしか興味ないのさあ。そんな私に他人のことを考えろだなんて冗談も良い所だね」
―――――邪魔をした。
「文字通りだな、邪魔だった。さようならトラフィム」

結果、彼は迷宮を守る南京錠になった。自分にしか興味がないと言った男は自分にしか興味を向ける対象がいない世界に閉じ込められた。

グランスルグはその巨大な頭を捻った。
「わからん。それは、生きることは罪なのかと問いかけているのと同意だ。私には答えることはできん。それに、私が人間の血を吸おうとすればソレこそ、食い殺すしか無いのだからな」
君は吸血鬼殺しにも特化している。
「人間殺しに特化している存在など自慢にもならんだろうよ。世界一、人間殺しに特化している者は核兵器の発射ボタンを押せる者だと思うがな。吸血鬼だ、何だと御伽噺のような存在であることを自慢している連中の気持ちが解らん」
君の姿は充分、御伽噺だと思うが。
「ふん、こんな姿は辿りついた結果にすぎん。体を鍛えていた男が筋骨隆々になったの同意だ。辿れば行き着くだけのこと」
辿れば行き着く、か。
「うん? ああ、そうだな。トラフィムの疑問もそういう物じゃないのか。答えが出ぬなら無理に出す必要もないさ。時間は文字通り体が腐るまであるのだから。私でよければ何時でも相談に乗ろう」
………ありがとう。
「照れ臭いな。ああ、トラフィム。公と姫はいるのに、我等吸血鬼に王がいないのは何故だか解るか?」
いや、わからんが………。
「色々と気を配っておいた方がいいのかもしれん。二十七祖という数字にも私は疑問を抱いている。何ゆえ二十七なのだ? そして死徒と始めに呼んだ者は誰なのだ。それ所か、真祖の王ですら我等の完全なる王としては君臨できなかった。そして、空位の第二位。我等が盤上の駒として存在しているという幻想も間違いでは無いかも知れんぞ」
闇色の六王権、か。
「そうだ。唯、あるとされてきた脅威。それは人間に対する脅威ではなく吸血鬼に対する脅威だ。容易された生贄は二十七。抜き出るのが六かもしれん。あるいはもっと別の―――――」
どうした?
「いや、何か………。―――――なんでもない。すまないが、トラフィムこの話は忘れてくれ私の個人的な考えに過ぎない。君は君の為に悩んで、君の為にこの死の途中を味わうと良い」
吸血鬼が、死の途中か。そんなことを言う奴は君だけだな。
「私は私のスケアクロウを探すさ。さようさなら、トラフィム。君と話せてよかった」

彼が何を気付いたのかは知らない。彼が何を考えていたのかは知らない。だが人間より、否吸血鬼より圧倒的有利な『鳥』という肉体を持った彼は教会に捕縛された。

――――――――――思えば、昔は徒党を組んでいた。
スタンローブ、コーバック、グランスルグ、そしてヴァン。
若かった頃の思い出だ。そして、最早私の周りには誰も残っていない。
歳を取った。あの頃が一番楽しかった時だと思い出す。
ヴァンには、自分の疑問をぶつけなかった。彼はもうこの時点で吸血鬼という種族を殆ど見放していたからだ。


白騎士の銀の刃が頬を掠める。
否、掠める事は無い。白銀の刃は炎に舐め取られこの世から消える。
思考の内にも時間は止まってはくれない。
「無駄だ」
「やってみなきゃ、わからないでしょうがっ!!」
白騎士を見ていると、スタンローブを思い出す。
直情。熱く滾るマグマのような男。

疑問の答えは出ていた。否、出さなければならなかった。
もう、私には時間が無い。
だが、焦って出した答えではない。実行に移すかどうか迷っていただけだ。
かつての仲間は一人も私の隣には立っていない。
そういうことなのだ。もう、私達の時間は過ぎ去っていたのだ。
私の死んでいる途中は、終わりが近い―――――。

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